TACOMA FUJI RECORDS

WHY CAN’T WE ALL JUST GET ALONG? designed by Jerry UKAI

6,380円(税580円)

STANDARD SHIRTS
COTTON 100% MADE IN JAPAN

SIZE
S : 身幅 48cm 着丈64cm 袖丈19cm
M : 身幅 52cm 着丈67cm 袖丈20cm
L : 身幅 56cm 着丈70cm 袖丈21cm
XL : 身幅 60cm 着丈73cm 袖丈22cm

異彩を放つジャズ・レーベルとして未だ根強い人気を誇るサンタアナ。
エルサルバドルの地名を冠したレーベルの活動期間は2013〜2018年と短いながらも、数多くの名盤を生み出したことで知られる。

サンタアナは2013年、サックスプレイヤーだったチャド・サウセドとデイトレーダーの吉田ノボルが東京でスタートした。設立当初はチャドの故郷エルサルバドルとのトウモロコシ貿易と精密機械の関税業務がメインだったが、2014年頃からレーベルとしての活動が主となった。ライブハウスやストリートは勿論、時には閉店後のスーパーや建設途中の戸建て住宅、面識のない他人の住居に侵入して行う、ゲリラ的に収録された緊張感溢れるセッションのライブ音源の配信やアナログでのリリースを続けていた。アナログ盤は正規の流通ルートを介さずに販売する完全自主制作盤だったため、一部の音源は高値で取引されている。

このレーベルからリリースされた音源の大きな特徴の1つは、アナログ盤のブックレットにびっしりと手書きの細かい文字と独特な挿絵で構成されたライナーノーツがあげられるだろう。テキストはノボル、イラストはチャドが手がけていたとされる。句読点用いず、「シ」と「ツ」に区別がなく、過去現在未来の時間軸が定まらないなど、中毒性の高いその独特な文体は文学界からも注目され、文芸誌に寄稿することも。
レーベル閉鎖後にリリースされたブート盤ブックレットに尾上の直筆書簡が掲載された際には、その悪筆が話題となった。筆跡はライナーノーツのものとは異なったため、ゴーストライター説も流れたが真相は不明のままだ。

50タイトルを超える音源をリリースしていたが、2018年チャドの突然の帰国とともにレーベルは失速する。
帰国の理由は諸説あるが、一説によるとチャドの好きな映画「Mars Attack」にジャック・ブラックが出演していたか否かに端を発したノボルとの口論が掴み合い発展。その際にノボルが発した侮蔑発言にチャドが激昂、衝動的に帰国したとされる。
片翼を失ったレーベルは暫く活動を続けたが、同年末SNS上でノボルがレーベル閉鎖を宣言、その活動をあっけなく終えた。

現在、ノボルは「コンマン(詐欺師)」名義でタレントとして活躍中。同時に、水素水や磁気マット、ハニカム構造のマットレスのセールス等に没頭、自ら出演するTVコマーシャルでもお馴染みだ。チャドについては帰国後その消息はあまり報じられることはなかったが、2020年4月、イロパンゴの自宅にて家族に見守れて94歳の人生に幕を閉じた。 日本では公称1970年代生まれの40代とされていたので、その実年齢は驚きを持って伝えられた。

レーベル閉鎖後、ノボルとチャドは絶縁状態だったと言われていた。しかしチャドの死後、遺族はノボルからチャドへ送られた直筆のエアメールを公開した。そこにはライナーノーツでお馴染みの独特な文体のチャドへの謝罪と、サンタアナ再開へ向けての情熱的なプランが綴られていた。封書の裏面には、ノボルが自身で考案したと言うフォント、通称ノボルフォントで「WHY CAN’T WE ALL JUST GET ALONG?」と記されており、叶うことのなかった2人の再会を悲しむ声は少なくなかった。

2人の古くからの友人であり、サンタアナのレーベルロゴや音源のアートワークを数多く手がけたイラストレーターのジェリー鵜飼。
鵜飼はチャドの訃報に深く悲しみ、哀悼の意を込めてSNSに惜別の思いをポストした。その際に掲げたアートワークがノボルがチャドへ送った書簡に記されたのと同じ、あのノボルフォントで作られたこのアートワークだ。ファンからの要望もあり、ジェリー鵜飼が架け橋となりノボルからも快諾を得たことで、これまで何度となく噂されたサンタアナとタコマフジのコラボレーションが サンタアナ活動終了後ではあるが遂に実現した形だ。
が、しかし。この「WHY CAN’T WE ALL JUST GET ALONG?」Tシャツがサンタアナ再興のきっかけになれば。。。
そんな思いを禁じ得ないのもまた正直なところだ。
*このストーリーはフィクションです。


Jerry UKAI ジェリー鵜飼

アートディレクター&イラストレーター。
1971年生まれ。静岡県出身。バリカンズ所属。
アウトドアやアパレル、CDジャケットなど、ファッション〜カルチャー〜ミュージックなど全方位にて活動中。ULTRA HEAVY, MOUNTAIN POOR BOYSのメンバーでもあり、ここ数年は執筆活動も盛ん。